新潟県の一番北の外れ村上市の旧市街地に住んでる。
ある時何人かで朝日山系奧深く天然山葵を探しに行った時
途中のとてつもない山路で車がパンクした。
スペアタイヤに変えたら長年エアーアップしてなかった為
パンクタイヤと同じ状況で使いものにならない。
市街から40kmも離れているからJAFなんてもちろん論外。
携帯なんぞつながる訳がない。
松っちゃんと私は呼んでるのだが
いつも船に乗ってもらってるAさんと性格がとてもよく似てて
何かと頼りになり滝昇り時には真っ先にロープの束を肩に通し
上の木の枝に縛り付け後から昇る我々には頼もしい松っちゃん。
しかしこの時は何しろタイヤがパンクでは何ともしょうがない。
途方に暮れてたら何やらまっちゃん山の斜面を山猿の如く昇りだし
枯れ草を鎌で刈って大量に下に落とし始めた。
パンクとどんな関係があるのか。
下りてきたと思ってたら今度は太い木の枝を斧で落とし
何やらヘラのような物を2本作り出した。
何をするのかと見てたら親指立てグーのサインをするではないか。
ジャッキで車を上げタイヤとホイールの間に先程削った木の枝を差し込み
隙間から枯れ草を押し込み始めた。
タイヤは枯れ草によって空気が入ったまでは到底いかないが
何とかノロノロ走れるぐらいには膨らんだ。
うへーっ、すごいな。
こういった咄嗟の知恵はAさんと似てるのだが。
そして彼は何事もなかったかのように山葵探しを始める。
彼には数え切れないほどこの山奥に案内してもらってるが
何があってもとにかく何とかする。
この知恵はほんと凄いと思う。
ちなみに彼の職業は道路工事の総責任者だ。
何とも魅力的な人間的で多くの人から“好かれる松っちゃん”ではある。



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