「便乗値上げ」なんてそのもっともたる使い方。
先日松江に旅した時、宿泊したホテルに「シジミ飯」と「シジミ汁」があった。
ご存知の様に水の都、松江は穴道湖のシジミが名物で
毎日専業漁師が小さな船を操り
鋤簾(じょれん)という道具を使ってシジミ漁をし
穴道湖の名産品として全国に知られている。
この情景自体が松江の名物にもなっているし
いつ行っても目にするから穴道湖の底はきっとシジミだらけなんだろなと
想像するがそうでもないらしい。
最近は昔ほどの水揚げもないし何より小形化してるとのこと。
だから金属製の鋤簾の網目は小粒のものが
網から振るい落とせる大きさになって資源保護を計っている。
従って穴道湖の小さなシジミは有り得ない。
にもかかわらずホテルで出てきたものは小指の爪ほどの大きさだ。
当然外国産と思われるが詮索しなければ名物の先入観があるから
松江穴道湖のシジミと思い込んで“有難く”食することになる。
しかしとてもじゃないが箸先でつまんで一つ一つ食べるには
余程の時間と根気がいるし旨くもなんともない。
穴道湖のシジミに便乗した行為に他ならない。


