ここにある資料館の職員の人に
「五重塔は何故地震で倒れないのか」
と問うたことがあって、その時の応答は大まかには分かってはいるが
全ては解明できていないとのことだった。
日本国中に五重塔はいくつあるか知らないが
一塔たりとも地震で倒壊したなんて話は聞いたことがない。
職員の話のおおよそなことは心柱が大きな役割をし
各層がやじろべえの役を果たし均等を保つからだという。
心柱は土台に立ててあるものと
一番上の層から釣られて地面に接してない形のものがあって
いずれも太いヒノキを縦割りにし何本かを束ねてあり
この心柱と回りの各層構造物の接点はどこにもなく
心柱は独立状態で揺れが起きた時のみ構造物は多点でごんごんと心柱に当たり
揺れエネルギーを吸収する。
その上各層の迫りだした屋根の重量がやじろべえの原理で均等を保つ。
この二つのことを教えてもらったのだが
まだまだ至るところに多くの知恵を活用していて
現在でもその全貌は解明されてないようだ。
しかし今ではニセ設計士なるものがいる中で
国家試験どころか外から知識を得る手段もない時代に
よくぞまあこんな物凄い思考力があったものだと驚いてしまう。
五重塔は中国にもなかったんじゃないかな。
日本独自の高層建造物でしょう。
今でこそラーメン構造なんて高度な技術があるが
当時そんなもんはなかったが
その理論理屈の分かっている優れた人達がいたのですね。
五重塔を見る時僅かではあってもそのような予備知識を持ちながら眺めると
また違った趣きも感じられ見方も変わります。


