毎年花を見ると今年も見ることができたなぁと
残り少ない人生と兼ね合わせ感傷に浸るのだが。
桜は咲き出す前は今日は三つほど開いたとか
やれ開花宣言とかでやたら持てはやされ
花の方もそんなに気い遣ってくれるんじゃあ咲かないわけにはいかないとばかり
賑やかな満開の姿を見せてくれるのだが
一旦散り始めると人々は手の平を返した如く無関心になり
また一年後でないと花舞台に登場できない寂しい日々になる。
熱しやすく冷めやすい日本人特有の姿と何やら似て無くもない。
ところで「さくら道」という本ご存知かしら。
岐阜県は白川村を流れる
一級河川庄川本流の上流に建設された御母衣(みぼろ)ダム。
この下流に荘川村があってそこに樹齢450と推定される桜の巨木があった。
当然村と共に湖底に沈む運命にあったのを
地元の人々の熱意で村を見下す国道156号沿いに移植した。
それが見事に活着し開花したのを
村人が涙を流し頬ずりしながら抱きついている姿を
そこを通る国鉄バス車掌だった佐藤良二さんが見て感激にむせび
壮大な決心をすることから始まる涙なくしては読めない一冊だ。
筋道は自分の仕事場、
名古屋から石川県は金沢までの路線バスが走る国道156号線に桜を植え
桜並木にしようという。
つまり太平洋と日本海を桜でつなごうという壮大な計画を立て
実行に移し2,000本を植えた47才の時に命が尽きてしまい
完成をみることができなかった。
この手記を著者、中村儀明さんが著し
名古屋の風媒社から1993年3月25日出版された。
今は在庫があるか否か定かではないが
もしあれば子供達に読ませても良い影響をもたらすこと受け合いだし
何度でも読める内容だ。




