車を運転すると変わる人っていますよ。
それも激変する人。
西会津にホテル支配人の知人がいて物静かでおっとりとしたおとなしい人。
この人の運転する助手席に乗った時のこと。
こりゃあかなりひねもすのたりの運転だろなと思った。
初めは。
ところが走り出すと、
ン!? 何だか様子が違うぞ。結構なスピード出すじゃん。
いやいや増々スピードアップ。
ちょっとおっかないな、なんて思ってる内に峠道に入ってきた。
片側一車線アップダウンのカーブ連続。
もちろん追越禁止で前方の車に迫ってきた。
ここでまさかの追越をする気配。
えっ!? ここで追い越すの? 本気なの!?!?
まっさかあ、なんて心の中でつぶやいてたら急加速して追越体勢に入った。
ヒャーッ本当にやるの、、反対車線に出た。
上り坂で前方が青空しか見えないよ!
何が怖いって前が空しか見えないほど怖いことはないって。
ウワワワッ!グリップ力いっぱい握り締め手に汗握るとは正にこのことだ。
心臓ドキドキ無茶苦茶するわー。
ひゃー、、追い越しちゃったよ。
田舎の峠道で前からこなかったから助かったけど来てたら完全にアウトだ。
そして今度は国道49号バイパスに出た。
片側二車線の直線が1km以上続く所。
車は100km近くで走りネズミには絶好ポイント。
ところがそれらの車を追い越す荒技に出た。
一難去ってまた一難。
ジャンジャン追い越して行く。
120kmは出てる。
300mほど先の赤信号で車が何台か止まっているがスピード落とさない。
ちょちょっとスピード緩めてよ!
ねぇっ、ねぇったら!
えーっ、これもう追突しちゃうよ!
ウワーブレーキブレーキ!
あーもーやだ!
そこそこお願いーー!!(失楽園ちゃうで)
ブレーキ踏んでぇぇぇ〜〜!!!
心の中で絶叫してる。
両足床が突き抜けんばかりに踏ん張っているがどうにもならない。
いよいよの直前でギューンと強力ブレーキ踏んで止まったよ。
くわばらくわばらの極限だ。
本人平気の平ちゃらの顔付き。
止まってる車が後ろを見てたら迫ってくる車の速さに驚いて
車外に逃げちゃいますよ、ほんとに。
寿命が一年縮まったよ。
この人の車にはもう絶対乗らないと思ったのは言うまでもないけど
この人車降りるとまた元のおとなしい人に戻るんですから。
私なんかどっちかといえば、がらっぱちの方だけど
車の運転はのんびりしてるなぁ。
だから捕まったためし一度もないもの。
100万km以上乗ってて。



