恐らく一番お気に入りであったと思われる
それはそれは素晴らしいぐい呑みをいただいた。
大事に使っていたのだが洗っている時
誤って落としてしまい破損させてしまった。
その時の呆然さは今でもしっかり覚えている。
三上さんにその旨話したら
「修復できるかも知れないから出来るだけ破片残らず取り揃えておいて」
と言う。
小さな破片も集めて見てもらったら何とかなると言うではないか。
天にも昇った様な心持ちとはこのことのように思った。
気に入ってる酒器の中でも一番に思えるぐい呑みが修復されて
手渡された時はほんとに嬉しかった。
陶器の修復を完璧にするには相当の技術もいるし
作陶と同じくらい難しい。
いや、それ以上に難儀なのではないか。
接着剤、にかわ、漆、金など、いろいろな材料を使ってのことなのだろうけど
出来上がった姿を見ると修復の跡がそれはそれで芸術性を帯び
少し凄味も加わりこれまた以前にも増して
愛着を覚えるようになるから不思議だ。
酒器は四季に応じて使い分けているが
このぐい呑みは寒い時期に冷やで飲む時に一番のお気に入りなので
それこそ今度は割らないようにと気を遣っている。

これ以上の形はないぐらいの姿。

修復の跡もむしろ魅力が増す要因になっているのが不思議。
破片の無い所は金で補っているのがお分かりでしょうか。



